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四種混合ワクチンについて BCGについて ヒブワクチン(インフルエンザ桿菌b型ワクチン)について
肺炎球菌ワクチンについて 突発疹(とっぱつしん)とはどんな病気? 溶連菌感染症について
発熱時の対応について 下痢や嘔吐の対応について みずぼうそう(水痘
おたふくかぜ(ムンプス)で気をつけること アデノウイルス感染症(プール熱) 熱性けいれんをおこした児の今後の発熱時の対応について
手足口病とはどんな病気 伝染性紅班(りんご病)とはどんな病気? ヘルパンギーナとはどんな病気
気管支喘息とダニアレルギー  こどもの花粉症  食物アレルギー

「とびひ」になったらどうしたらいいか?

鼻  血 B型肝炎とワクチン


B型肝炎とワクチン

  B型肝炎は血液を介して感染する肝炎です。
 この肝炎では、ウイルスの感染の時期によって、持続的に体内にウイルスが残ったり(キャリアといいます)、一過性の感染で終わったりします。持続感染者の大部分は、B型肝炎ウイルスの感染者の母親から出産時に産道で感染して、その後ずっとウイルスを持続します。その他、新生児期に家族内感染などの理由で感染しても、持続感染の形になります。

 日本においては、キャリアの母親からの産道感染を予防する対策がとられてきました。抗体を出生直後に注射し、感染をブロックした後に、ワクチンを接種します。この母子感染予防の医療は保険対象です。現在でもこの事業は継続的に施行されており、効果をあげています。

 現在の母子感染事業で日本のB型肝炎ウイルス対策は大丈夫と思われてきましたが、近年父親からの感染や感染経路不明の乳幼児のB型肝炎ウイルス感染例が増えてきています。この背景には性感染の一つとしてB型肝炎が近年増えていることがあります。このタイプのB型肝炎ウイルスは外来種で慢性化率が高いようです。

 こうしたことから、H28年10月より、平成28年4月1日生まれ以降の児を対象に公費化されます。

 ワクチンは
4週間隔で2回接種し、さらに20~24週間後に1回追加接種をします。
母子感染予防では追加接種までの間隔が短く設定されており、20~24週間後の追加はこのスケジュールに準じてもよいとされています。

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四種混合ワクチンについて

 このワクチンはジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの混合不活化ワクチンです。 平成24年11月から三種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンを加えた四種混合ワクチンになりました。

 ジフテリアは国内では非常に少ない時代になりましたが海外では最近まで流行がみられ、百日咳は現在でも国内で散発的な感染がみられます。
 
百日咳は乳幼児が感染すると咳で呼吸困難になって顔色が青黒くなることもしばしばで、けいれんがおこることもあります。肺炎や脳炎などを併発することもあります。
 破傷風菌は土の中に潜んでいて傷口から感染し、菌の出す毒素のためにけいれんや口が開かないなどの症状がおこり、処置が悪いと危険です。

 これらの病気の予防接種である四種混合ワクチンを
生後3カ月をすぎたらなるべく早めに受けましょう。四種混合ワクチンは副反応の少ない安全なワクチンです。一番多くみられる副反応は注射部位の腫れで、注射したところが赤くなったり(発赤)、腫れたり(腫脹)、しこりができたり(硬結)することがあります。発赤、腫脹は1回目の接種では接種後1~8日目に発現し、2回目以降の接種では発赤や腫脹の程度は強くなり発現時期も早まる傾向がみられます。
 発赤の頻度は第1回接種後で0.4%、第2回で3.7%、第3回で2.1%、1年後の追加接種後で12.5%との調査成績があり、追加接種ではかなり腫れやすいことが統計的にも示されています。発赤腫脹は2~3日で消失することがほとんどですが、なかには上腕全体が腫れたりすることもあり、ひどい場合は受診ください。硬結はワクチンに含まれる免疫強化剤の影響で出現するもので、1か月くらいで消失していきますので心配ありません。
 接種後に発熱をきたすことがありますが、安静にして様子をみていただければすぐに落ち着きます。発熱が2日以上続く時は受診してください。
 
 このワクチンは
3~8週の間隔で3回接種します。8週以上あいてしまっても最初からやり直すことなく規定の回数を接種してください。
3回の接種が完了してから1年から1年半後の期間に追加接種をします。

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BCGについて

 結核は決して過去の病気ではなく、現在でも多くの人が発病している油断できない感染症です。結核は結核菌が人の肺に吸い込まれることによって感染します。
感染しても発病する人としない人がいます。発病するかどうかは、そのときの健康状態や栄養状態、また体質などが関係すると言われています。
 しかし乳児が感染すると、一気に重症化して、結核性髄膜炎や粟粒(ぞくりゅう)結核という命にかかわるほどの状態になることもしばしばあり、後遺症も深刻です。
 BCG接種は結核感染を完全に防げませんが、重症化は防げます。こうしたことから2013年4月より、BCG接種は生後1歳に至るまでの乳幼児にツ反をせずに1回接種することになりました。
 出生直後から接種は可能ですが、免疫不全等の病児にBCGを接種すると大変ですので、大きな病気がないことを確認した3カ月以降に接種するようにしてください。

 
標準的な接種期間は生後5カ月から8カ月です。

 BCGワクチンは左の上腕部にワクチン液をスポイトで1滴たらし、BCG接種専用のスタンプの端で押し広げるようにして肌になじませます。
 スタンプには針が9個あり、これを2回、皮膚面を強く押す方法で行います。接種後に針あとが残ります。接種後2~3週間で、針のあとが赤くふくらんできます。
約4~6週には反応がもっとも強く膿っぽくなり、その後、かさぶたができますが、特別な治療も必要なく、普通の経過で小さな針あとをうすく残します。時に、わきの下のリンパ節がはれることがあり、大きくはれたときにはご相談ください。

 結核にかかったお子さんにBCGを接種すると、接種直後(10日以内)から発赤腫脹がみられ、早期(2~4週)に治癒してしまう現象(コッホ現象)がみられます。このような反応がありましたら受診ください。

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ヒブワクチン(インフルエンザ桿菌b型ワクチン)について

 ヒブワクチン(インフルエンザ桿菌b型ワクチン)は乳児の細菌性髄膜炎を予防する目的で作られました。
 インフルエンザ桿菌(インフルエンザウイルスとは全く別物)は乳幼児の細菌性髄膜炎を引き起こす菌の中では最も多い菌です。
細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)は時に致死的で、助かっても重い後遺症を残すことがしばしばあります。
 細菌性髄膜炎を引き起こす菌はインフルエンザ桿菌以外にも、新生児期では大腸菌やB群溶連菌、乳児期以降では肺炎球菌があげられます。したがって、このワクチンですべての細菌性髄膜炎を予防できるわけではありませんが、多くの割合を占める髄膜炎が阻止できます。

 定期接種としてヒブワクチンを接種しているアメリカでは、ワクチン導入前には5歳未満人口10万人あたり25人といわれていたインフルエンザ桿菌b型髄膜炎が、導入後はほぼ0になっています。

 ヒブワクチンは
生後2か月から接種することができます。
初回の3回と、その後7カ月以降の追加の合計4回の接種になります。ワクチン接種のスタートが7カ月以上1歳未満のおこさんでは初回2回の接種と追加の合計3回、また、1歳以上のスタートになってしまったお子さんでは1回の接種で終了です。
 


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肺炎球菌ワクチンについて

 13価肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による乳児の重症細菌感染症を予防する目的で作られました。
 新生児および乳児期は細菌感染が急速に進展し、早期に菌血症、髄膜炎に伸展することがあります。細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)は時に致死的で、助かっても重い後遺症を残すことがしばしばあります。
 細菌性髄膜炎を引き起こす菌は乳児期ではインフルエンザ桿菌が最も多く、肺炎球菌がこれに続きます。
 肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による髄膜炎や敗血症、肺炎、中耳炎を予防します。

 肺炎球菌ワクチンはヒブワクチン同様、
生後2か月から接種することができます。初回の3回と1歳以降の追加の合計4回の接種になります。ワクチン接種のスタートが7カ月以上1歳未満では初回2回の接種と追加の合計3回、1歳以上2歳未満では1回の接種に1回の追加、2歳以上では1回の接種になります。
 


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突発疹(とっぱつしん)とはどんな病気?

 生後6カ月を過ぎると、生下時に母親よりもらい受けた免疫の効果が薄れ、様々なウイルスの病気に罹りはじめます。

 突発疹(突発性発疹)は「あかちゃんがかかる最初のかぜ」として昔から広く存在が知られてきたウイルスの感染症で、多くのこどもが2歳くらいまでに罹ります。
38℃を越える発熱が2~3日続き、熱が下がると同時におなかと背中を中心にばらっと赤い発疹が出現します。

 麻疹(はしか)や風疹と違う点はいくつかあります。「はしか」では咳やハナが多く発熱期間中にはでな発疹が出ますが、「突発疹」では咳やハナなどの症状は軽く、発疹も熱が下がってから出現します。
 
熱の割にはミルクの飲みもまずまずで比較的けろっとしていることが特徴です。ただ、熱の出始めにひきつけ(熱性けいれん)を起こすことが時にあり、注意を要します。
こまめに水分を補給することが重要です。

 発疹にはびっくりすることはありません。私は発疹をみると安心します。
病気が回復期であることを示しているからです。
しかし、
発疹が出現するころは多少下痢気味であることも多く、熱の出ているころよりもむしろ不機嫌です。発疹や不機嫌さも数日すると次第に落ち着いてきます。

 ウイルスの病気は一生に一回しかかからないのが原則ですが、突発疹は2回、人によっては3回かかったなんていうことがあります。
これはHHV6が代表的な突発疹の起因ウイルスですが、HHV6ウイルスの感染症と同じような症状(2-3日発熱し下熱後発疹が出る)を現わすウイルス感染症がいくつかあるからで、よく観察すると臨床症状や発疹ながと少し違いますが、こうしたウイルス感染症も「臨床的には突発疹」として問題がありません。



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溶連菌感染症について

 A群β溶連性連鎖球菌という細菌(略して溶連菌)がのどに感染することによっておこる病気で、以前は猩紅熱(しょうこうねつ)と呼ばれていました。

 症状は、急に熱が出てのどを痛がります。典型的には、発熱に引き続いて苺のような舌の発赤、体や手足の赤い細かな発疹がみられます。時には全身が真っ赤になったり、回復期に手足の指の皮がむけることもあります。

 4歳から10歳くらいのこどもに比較的多く、季節的には冬から春にかけて多い傾向があります。正確な診断はのどの細菌検査で決定しますが、臨床的な症状からでも多くは診断可能です。
この検査に関しては、最近ではすぐに結果がわかる検査キット開発され便利になりました。
この病気は抗生物質がとてもよく効きます。
 注意しなければいけないことは、この病気が治った後にリウマチ熱や腎炎などの余病を起こすことがあることです。余病を予防するためには抗生物質を指示された期間しっかり内服することが大切です。抗生物質を飲み始めるとすぐに熱が下がって元気になったように見えても、のどについた菌はなかなか完全にはとれません。
 
抗生物質を飲み始めてすぐに他人に感染させるだけの菌量ではなくなりますが、完全除去まで通常は10日間ぐらいの抗生物質の内服が必要です。薬を続ける必要はありますが、症状がおさまっていれば集団生活はその時点で可能です。
治療前では周囲に飛沫感染をおこします。家族や遊び仲間でのどが痛い等の症状があれば感染の疑いが濃厚です。

 余病に腎炎を起こすことも最近はそれほど多くはありませんが、回復後に検尿検査を受けられることもおすすめします。ウイルスの病気ではありませんので、1度かかっても終生免疫は獲得されずに何度もかかることがあります。予防接種はありません。



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発熱時の対応について

 こどもの体温は、新陳代謝がさかん、体温調節中枢が未熟などの理由から、成人より高めで、環境温の影響も受けやすいのが特徴です。一般的に朝は体温が低く、夕方が高くなります。乳児期では37.5℃までは平熱と考えて下さい。熱を出す原因の大部分はいわゆる風邪ですが、かぜなどの感染症以外にも川崎病、膠原病など、様々な原因があり、特に発熱が続く時にはしっかりした診断・治療をうけましょう。
 発熱時の観察のポイントとして次の点に気をつけてください。
「1」機嫌や活気が最悪でないか?
「2」ウトウトが続いて意識が変でないか?
「3」唇や口の中がカサカサでないか?
「4」体に変な発疹がないか?

 発熱時の対策としては、発汗や高熱で水分が蒸発するため、体の水分が失われがちですので、水分をこまめにあげてください。一度に飲めなくても少しずつ頻回にあげましょう。
熱で苦しそうであれば、脇の下や鼠径部を冷やしてあげると、大きな血管が走っているので効果的です。寒くない程度の薄着にして安静に寝かせて、適時部屋の換気をしてください。布団にくるんで暖めて汗をかかせて熱を下げようとしてはいけません。

 発熱は体の防御反応であり、体に入ってきたウイルスや細菌をやっつけようとするための反応です。そのため、解熱剤を使って熱だけを下げることはあまり意味がありません。解熱剤は上手に利用してください。小児に最も安心して使える熱さましはアセトアミノフェンです。
使い方のポイントは
「1」生後6ヶ月までは使用しない。
「2」38.5℃以上の時に使用。熱が高くても元気がまあまあ良く水分もとれている時は使 う必要はありません。高熱で食欲もない時に、一時的に下げて、その間に水分を補給するな どの目的で使うようにして下さい。 
「3」6時間程度は間隔をあけるようにして下さい。


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下痢や嘔吐の対応について

 感染性胃腸炎に罹ると下痢や嘔吐の症状が出現し、重症児では脱水がひどくなって点滴治療が必要になります。
点滴が必要なおおまかな目安は、嘔吐などがおさまらず薬が全く飲めない状態、および体重が5%以上も減少するような脱水が認められる場合です。こうした重症例以外では、薬と食餌療法によって回復が期待できます。

 嘔吐が認められたら、まず、吐き気止めの座薬を使用するとよいでしょう。内服薬も吐いてしまうことがしばしばあるからです。
座薬は肛門の奥深くの空間までしっかりと挿入することがポイントです。座薬挿入して20~30分くらい経過したら、少量の水分の投与を開始します。嘔吐時は胃が激しく動いているので、そこにたくさん飲ませて胃を満タンにすると、折角飲んだものをまた吐いてしまいます。点滴注射と同じように「ちびりちびりと」根気よく飲ませましょう。
 また、嘔吐がすっかり止まるまでは絶食させて、水分だけをゆっくり与えてください。嘔吐や下痢がありますと、水とともに水に溶けている塩分、電解質(ナトリウムやカリウムなど)も同時に失われるので水だけの補充ではいけません。
 また、腸で水分を吸収するためには塩分のほかに糖分も必要です。こうした水分・塩分・糖分などを調整して作られた経口電解質液などを利用されるとよいでしょう。
 また、回復して固形のものが食べられるようになってきても、脂肪の多いものや消化に時間がかかる肉類は避けて与えてください。

 毎年秋から流行する「吐いてしばしば下痢」になる
ノロウイルス感染症や、冬季に乳児に流行する「白色(レモンイエロー)の下痢便が特徴」のロタウイルス感染症に罹った場合は、上記のような治療法で対応してください。


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みずぼうそう(水痘)

 軽い発熱とともに水をもった丘疹がからだのあちこちにぱらぱら出はじめ、やがて破れて痂皮を形成します。一気に出そろわないのが特徴で、しかも1ヶ所に集中せず、からだのあらゆるところ、頭部の有髪部位や口の中にも出現します。眼球の結膜や角膜にも出現して潰瘍を作ることもあります。皮疹はかゆみをともないます。そのため皮疹をひっかいて2次的な皮膚の細菌感染をおこすことがしばしばみられます。まれではありますが、脳炎や小脳失調をきたす重症例もあり注意が必要です。なお、免疫不全状態(白血病などで化学療法を受けている時など)で水痘にかかると重症になることが知られているので、ステロイドを長期に内服している児では注意が必要です。一般的な治療はかゆみをとる目的でフェノール亜鉛化軟膏を塗布し抗ヒスタミン剤など内服します。また、抗ウイルス剤(ゾビラックスなど)が開発されていて、初期から内服すると病気の諸症状を軽くすることができます。伝染性の高い病気で、すべての皮疹が痂皮化するまでの登園、登校は禁止になります。

 潜伏期間は2週間です。比較的潜伏期間が長いため、接触してすぐならワクチン接種すると発病を防ぐことができる可能性があり、未感染で予防接種を受けていない希望者にはワクチンを緊急接種しています。予防接種は平成27年から、1歳から3歳未満を対象に2回接種する定期接種になりました。

 水痘は一度かかると二度かかりません。水痘の治癒とともにウイルスは知覚神経節に侵入し潜伏します。帯状疱疹はからだの免疫力低下時に潜伏した水痘ウイルスが再活性化され神経支配領域に帯状に水疱疹を生じるものです。


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おたふくかぜ(ムンプス)で気をつけること
 最近様々なウイルスに対する抗ウイルス剤が開発されてきていますが、残念ながら、おたふくかぜに有効な抗ウイルス剤は現在のところなく、安静と対症療法が治療の主体です。
 耳下腺を中心とする唾液腺の腫れは、通常片側からはじまり、2~3日で反対側にもおよぶことが多く見られます。

 唾液が出ると痛みが増すので、酸っぱいものやよく噛まないといけないものはさけて、柔らかく消化しやすい食事にしてください。
 
耳のすぐ下の耳下腺が腫れることがほとんどですが、それより下方の顎下腺があわせて腫れることも、まれには顎下腺だけが腫れることもあります。

 
腫れは通常1週間から10日かけてゆっくりひいていきます腫れがひいたら集団生活が可能です。発熱は合併症がなければ数日でおさまり、時にはほとんど発熱がみられないこともあります。

 注意を要するのは合併症で、なかでも
髄膜炎は合併頻度が高く、意識障害やひきつけはもちろん、高熱が続き、頭痛、嘔吐がみられる場合は受診が必要で、慎重に経過をみる必要があります。
 脳炎を合併しなければおたふくかぜの髄膜炎の予後は一般的に良好です。
 髄膜炎よりはずっと合併頻度は低いですが、膵炎をおこすこともあり、お腹を痛がって吐くような場合も受診が必要です。年長児や成人では睾丸炎や卵巣炎の合併も時にみられます。難聴はまれな合併症ですが予後がよくありません。

 この病気の潜伏期間は2~3週間です。また、一度かかると二度かかることはありません。日常診療の中で二度以上かかった話を聞くことがありますが、これは「パラインフルエンザウ イルスやその他耳下腺の腫れるウイルス感染」か、あるいは「唾液腺に通過障害があり、反復して耳下腺炎をおこしている」かのいずれかと考えられます。


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アデノウイルス感染症(プール熱)

 手足口病やヘルパンギーナなどの夏かぜに引き続き、夏に流行することがあるためこのような病名がつけられています。
 発熱とともにのどの痛み、食欲不振、時に吐き気、全身倦怠感があり、目が赤くなってしばしばまぶしがります。眼病状は一般的に片方にあらわれます。

 このように
「喉頭」「目」の症状が主体で、「喉頭結膜熱」と一般的には呼ばれます。
 38~39℃の発熱が4日ほど続き、重症型では5日以上のこともあります。
 頚部のリンパ節がはれることもしばしば認められます。治療は対症療法が主体となります。

 この病気はアデノウイルスが原因で発症する病気で、アデノウイルスの型によって多少臨床症状が違います。一般的にアデノウイルスの3型が喉頭結膜熱をおこす代表といわれています。また、アデノウイルス7型のものは重症といわれています。

 
主要症状が消退して2日を過ぎるまで集団生活を避けるよう、学校保健法で指導されています。


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熱性けいれんをおこした児の今後の発熱時の対応について

 熱性けいれんは 1歳から4歳くらいまでの幼児(特に1~2歳)が体温が急激に上昇する時におこす良性のけいれんです。
 けいれんの持続時間は短く、左右差のないけいれんです。
 ただし、1歳未満の児や5歳以上の児でおこるもの、けいれんの時間が長いもの、左右差が認められるもの、回数の多いもの、などは熱性けいれんとしては典型的ではありません。
 こうした特別なタイプは注意が必要です。

また、「乳児期におこるけいれん」や、「発熱してから何日も時間が経過してからおこるけいれん」は安易に考えてはいけません。このような場合は髄膜炎などの重症感染症も十分に考えられますので、「こどもは熱がでるとひきつけることがよくあるから、ちょっと様子を見よう」などと簡単に考えないで必ず受診してください。

 熱性けいれんをおこし、まだ熱性けいれんをふたたび起こしやすい年齢にあるおこさんでは、次回の発熱時にけいれんの予防をお勧めする場合があります。
 初回の典型的な熱性けいれんをおこしただけの段階では、この予防対策は必ず必要なわけではありません。2回以上繰り返すようなら、予防をお勧めします。
 予防の具体的な手段は、発熱に気がついた時点で、あらかじめ処方されているジアゼパム(ダイアップ)の座薬を1個肛門に挿入します。さらに、38℃以上の発熱が続くようなら、8時間後にもう一度だけ座薬を挿入します。2回以上の使用は必要ありません。
 この方法により、発熱初期の挿入のタイミングさえ失わなければ、ほとんどの場合にけいれんの予防ができます。熱さましは予防のダイアップ座薬の使用後に使っても問題ありません。

 けいれんの予防を行いますと、ねむけやふらつきが生じるので、頭をぶつけたり転倒したりしやすいので、この点に注意してください。


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手足口病とはどんな病気

 手のひら、足のひら(時には手足全体)と口腔粘膜に、また、しばしば臀部にも5mmぐらいの細長い米粒のような形をした発疹がみられるのが特徴です。
 発疹は初期では中心が水疱様でまわりが赤く、数日するとあめ色になってきます。
 発疹はかゆみをともなわず1週間ぐらいで消えていきます。
 流行のピークは7月で夏かぜと呼ばれるウイルスの病気の代表的なものの一つです。最近は流行のはじまりが早く収束も遅い傾向がみられ、時には時季はずれの症例もみられます。

 1~4歳くらいの幼児に多くみられる病気です。
 発熱は軽いことが多く、高熱が続くことはまずありません。しかし、口の中の痛みのために食欲が落ちることがよくあります。軽症に経過することが多い病気ですが、まれにはこじれて髄膜炎などの神経系の合併症を併発することもあり、高熱が続いたり頭痛嘔吐などの症状がみられる場合は注意が必要です。

 特別な治療法はなく、それぞれの臨床症状にあわせた治療が行われます。この病気はエンテロウイルス族のいくつかのウイルスが原因で発症し(コクサッキーA16,4,5,6,8,10 エンテロウイルス71など)、単一の病気ではありません。ウイルスの種類によって病気の形が少し違います。ウイルスの排泄はだらだら続くことが証明されており、急性期のみの登校登園禁止では厳密な流行阻止はできませんが、その大部分は軽症に経過することから、学校保健法でも厳密な流行阻止よりも患者本人の状態によって登校を判断する様に登校停止期間が示されています。


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伝染性紅班(りんご病)とはどんな病気?
 軽いかぜ様症状(発熱はあっても軽度)のあとにしばらくして顔面の頬部にびまん性の紅班が出現し「りんご病」と呼ばれます。
 紅班は上腕と大腿の伸側にもレース状・網目状にみられ、かゆみがあります。パルボウイルスB19が原因ウイルスです。一般的には予後良好な疾患ですが、妊娠早期に妊婦がこの病気に感染すると流産の原因となるため注意が必要です。
 また、年長児や成人がこの病気にかかると関節炎を合併することがあり、手足の関節の痛みを訴えたり、時には歩行障害をきたしますが、通常自然軽快します。
 特殊な場合ですが、球状赤血球症の方がこの病気にかかると強い貧血になります。

 発疹の出現する頃には感染力はほぼ消失しているので、学校保健法でも
発疹のみで全身症状のよい人は登校・登園可となっています。
 一度かかると二度かからない病気ですが、発疹は日光過敏があり、日光刺激で再燃することがあります。


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ヘルパンギーナとはどんな病気

 手足口病とともに夏かぜの代表的な病気のです。
 毎年、流行のピークは7月で、6月中旬から流行しますが、時に季節外れのものもみられます。1歳から4歳くらいの幼児に好発します。
 ヘルパンギーナでは
発熱とともにのどの奥に数個の小さく丸い潰瘍様の変化が出現して痛みを伴います。
 発熱は39℃くらいの高い熱が1~2日のことがほとんどです。のどの痛みのために食欲が落ちて不機嫌なことがしばしばです。
 長期にこじれることは少ない病気ですが、なかにはこじれて髄膜炎などの神経系の合併症を併発することもあり、高熱が続き、頭痛嘔吐などの症状が見られる場合は注意が必要です。

 特別な治療薬はありません。のどの痛みが強いと食欲が出ないため、水分を少しずつでもこまめに補充することが大切です。特に1~2歳児では熱の出はじめに熱性けいれんを引き起こしてしまうことがあるので、水分補給は大切です。

 この病気はエンテロウイルス属のいくつかのウイルス(コクサッキーA2,4,6,8,10など、まれにB群やエコーウイルス)が原因で発症し、手足口病同様、単一の病気ではありません。したがって、ウイルスの種類によって病型が少し違い、手足などに発疹が出現して手足口病と区別し難い型もあります。
 潜伏期間は約3日です。ウイルスの排泄はだらだら続きますが、全身状態の改善を待ってよくなったら集団生活を許可します。



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気管支喘息とダニアレルギー

 室内に生息しているケヤヒョウダニやコナヒョウダニは気管支喘息やアレルギー性鼻炎の最も重要な吸入性のアレルゲンです。
 これらのダニは人を刺すことはありませんが(刺すダニはマダニなどで別種)、死骸や糞が家の埃の中に含まれ、ダニアレルゲンに感作されている人がこれを吸い込むとアレルギー症状が引き起こされます。

 ダニは比較的暖かい温度と湿度を好み、人のフケや食べ物の粉を餌にしています。
 日本の気候はダニが発生しやすい環境で、住宅の気密化が進み、ますますダニが増える傾向にあります。

 環境対策で最も重要なものは寝具類です。布団は日光に干して乾燥させることでダニの増殖を防ぎます。
 そして、布団専用ノズルでゆっくり時間をかけて掃除機をかけてください。(片面あたり1分を目安に両面)。シーツやカバーは少なくとも週に1回洗濯してください。ぬいぐるみは丸洗い可能なものをなるべく選び時々洗濯しましょう。ソファーは皮や合成皮革のものが好ましい。まずは、寝具類から根気よく環境整備を行って下さい。また、イヌ、ネコ、ハムスターなどのペットの室内飼育はダニを減らす目的から見ますと好ましくありませんので考慮して下さい。


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こどもの花粉症

 近年、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患が増加しており、花粉症の有病率も年々上昇しています。
 さらに、花粉症の発症年齢は明らかに低年齢化してきています。2~3歳からスギ花粉に対するIgE抗体が陽性になり(IgE抗体の陽性化と症状出現とは微妙なズレがあり発症の準備段階にあります)、3~4歳から花粉症の症状が認められることもまれではありません。

 アレルギー疾患の増加の原因については環境や住宅様式の変化など諸説ありますが、いくつかの因子が複合的に関与しているものと思われます。

 気管支喘息はハウスダスト、ダニが増える低気圧が近づく天候が悪い日に症状が悪化するのに対し、花粉症では晴れた風の強い日に症状が強く、くしゃみやハナみずが多い、目がかゆくてこするなどの症状がみられます。
 
 関東では、2月中旬から飛散するスギが花粉症の代表です。すぎ花粉症の症状が長引く場合はヒノキ花粉症の合併が考えられます。
 初夏に症状が出る人はハルガヤ、カモガヤなどのイネ科の植物の花粉症、秋に出現するする人はブタクサやヨモギの花粉症です。
 
 原因がはっきりしない時など、適宜血液検査を施行いたします。
 治療は、抗アレルギー剤の内服、点鼻、点眼など、年齢にあわせて対処させていただきます。症状の強い人は、薬による対応に加えて、帰宅したらシャワーを浴びてうがいをして、服は室内用に着替えるなどの対応も加えてください。


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食物アレルギー

 小児期の食物アレルギーは1歳前後に発症し、原因アレルゲンとして卵・牛乳・小麦・大豆が多く認められます。幼児や学童で発症する食物アレルギーでは、アレルゲンとしてそば・ピーナッツ・エビなどがあります。

 食物アレルギーにはいろいろの型があります。
 特定の食物をとった後1~2時間以内にアレルギー反応による症状がでるものを即時型食物アレルギーといい、症状としては蕁麻疹、嘔吐、眼瞼や唇の腫れなどで、時にはショック症状をきたすものもあります。一方、ゆっくりとあらわれるアレルギー症状としては、アトピー性皮膚炎や下痢などがあります。
 これらの症状から食物アレルギーが疑われ、検査で確定します。

 治療は即時型の症状が出る場合は原因食品の除去(ショック症状では厳重な除去)が原則です。
 しかし、アトピーなどの場合では、症状にもよりますが極端な除去食はおすすめしません。乳児期に発症したものは自然寛解していく(きわめて少量からの摂取により耐性ができる)例が多いのです。
 ただし、症状が強いおこさんでは原因食品をダイレクトにあげることを避け、時には抗アレルギー剤を食事前に内服すると症状軽減の効果があります。

 また、重症症状をきたした場合は、
アナフィラキシーショック対策として「エピペン」の常時持参の対策が有用です。当院でも処方指導しておりますので、該当する方は相談ください。

 卵、牛乳、大豆は消化しきれなかったタンパク質のかけらが原因になるため、なるべく消化しやすいようにしてあげればアレルギーを起こしにくくなります。卵や大豆は茹でたりいためたりして加熱した方が消化がよくなります。また、同じ食品をくり返し大量に食べているとアレルギーを起こしやすく、多種類の食品を少しずつ組み合わせて食べる回転食(回りません)は食品アレルギーの予防や治療に効果があります。



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「とびひ」になったらどうしたらいいか?

 「とびひ」は主に黄色ブドウ球菌(まれに溶連菌)という細菌による夏に多い幼小児の伝染性の皮膚病です。
 その浸出液により患児の皮膚のほかの部位にひろがっていくところから「とびひ」と呼ばれます(学名は伝染性膿痂疹)。ほかの子にもとびひすることもあります。
 とびひは虫刺されや湿疹の引っかききず、すりきずなどに細菌が感染することがきっかけになります。

 はじまりは水ぶくれですが、容易に破れてびらん(あかむけ)となり、その周辺からさらに拡大し、また新しい病変ができるとともに他の部位にもとびひします。
 治療は抗生物質の内服と局所の外用が原則で、かゆみ止めなどを併用することもあります。

 とびひになったら手でいじらないようにしてください。
 石鹸を使ってシャワーでとびひの部分を含めて洗い、消毒して軟こうをつけます。乾燥するまではガーゼをあてて(密封しないで通気性のあるもの)他の部位や他人の浸出液がつかないように心掛けましょう。
 また乳幼児では、時にブドウ球菌の毒素が血中に入り、全身の中毒反応として全身の皮膚が水疱を形成し、びらんになる重要型(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)になることもあり、この場合は入院治療必要です。
 夏場は毎日シャワーで石鹸を使い体を清潔にすることがとびひの予防になります。

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鼻  血

 こどもは鼻中隔の前方のキーゼルバッハ部位が発達していて、そこから出血しやすいので、鼻出血はとても多いものです。

 原因は睡眠中に無意識に鼻をほじったりするためなどです。特に、かぜをひいている時などは手指で傷つけることが多くみられます。
 こうした鼻出血はすぐに止まることが特徴です。
 止まりが悪いと思っても、あわてないで、頭部をやや前かがみにして、こばなをつまみ、血液がのどの方に流れないようにして、口で呼吸させ約5分止血のため待ってください。

 鼻血を胃に飲み込んだ場合は、その血液をほとんどの場合吐くので、袋などの用意も重要です。小さいお子さんでは泣きわめいて、こうした処置をする余裕がないことがしばしばあり、落ち着かせることが大切です。

 ハウスダストや花粉などによる鼻アレルギーがある場合にも、鼻出血がおこりやすい状況にあります。
 また、熱さましを使用した場合にも、鼻出血がおこりやすい状況にあります。
 また、熱さましを使用した後しばらくの時間は、出血が止まりにくい(止血に必要な血小板の機能を抑えるため)ので、鼻出血は止まるのに少し時間がかかります。

 
血小板減少症や白血病などの血液の病気では、すぐに止血しないことがポイントで、多くの場合、下肢の紫斑など鼻出血以外の症状を合併してきます。
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